訪問看護はきつい?元管理者が「きつかったこと・きつくなかったこと」を正直に分けてみた

働き方・職場

「訪問看護って、やっぱりきついの?」

病棟から訪問看護に移ろうか迷っていると、ネットで「きつい」「しんどい」という言葉ばかり目に入ってきますよね。私も病棟から訪問看護に移った一人なので、その不安はよく分かります。

先に私の答えを書いておくと、訪問そのものは、きつくなかったです。きつかったのは、訪問の外側にあるものでした。

この記事では、立ち上げ期の訪問看護ステーションで1年間管理者をした私が、「きつかったこと」と「きつくなかったこと」を正直に分けて書きます。訪問看護のどこが本当にしんどいのかが分かれば、転職前に何を確認すればいいかも見えてきます。

先に前提|私は「病棟からいきなり管理者」でした

最初に、私の立場をはっきりさせておきます。

私は病棟で働いたあと、知り合いから訪問看護ステーションの立ち上げを頼まれて、そのまま管理者になりました。訪問看護のスタッフとして働いた経験はありません。管理者として在籍したのは1年で、その後はナース専科を使って循環器外科の病棟に戻っています。

ステーションは私と、施設からそのまま移ってきたスタッフ2人の3人体制。利用者さんは数人から30人ほどに増えましたが、スタッフは最後まで増えませんでした。

なので、ここに書く「きつさ」には、管理者ならではのもの、立ち上げ期ならではのものが混ざっています。そこも分けて書くので、スタッフとして働く場合に当てはまるかどうかは、自分の状況に置き換えて読んでください。

きつくなかったこと|訪問に行くこと自体は苦じゃなかった

意外に思われるかもしれませんが、利用者さんのお宅や施設に訪問すること自体は、まったく苦ではありませんでした。

私自身の1日の訪問件数は、最初は5件ほど。利用者さんが増えるにつれて10件ほどまで増えました。施設訪問がある日は、施設2〜3か所の訪問をまとめて組むなど、自分なりにやりくりしていました。件数だけ見ると大変そうですが、それでも「訪問に行くのがつらい」と感じたことはないです。

移動は車でしたが、運転も苦ではなかったです。ただ一つだけ、雪の日は別でした。道路の状況が読めないので、「訪問の時間に間に合うかな」とずっと気が張っていて、体より気持ちのほうがきつかったです。

そして何より、利用者さんと向き合っている時間はうれしいことが多かった。訪問すると笑顔で迎えてくれて、頼りにしてもらえる。施設では、爪切りが苦手な利用者さんが私にだけは爪を切らせてくれると、施設のスタッフさんから言われたことがあります。少しでも役に立てているんだと感じた瞬間でした。

医師の指示のもとで、お宅でも医療的なケアができることも、利用者さんにとても喜ばれました。病院に行かなくても家で処置が受けられる。その安心感を届けられるのは、訪問看護ならではです。あとで書きますが、私がしんどくなったのは、この時間が減っていったからです。

「訪問看護はきつい」と聞くと、訪問そのものがハードだと想像しがちです。でも少なくとも私の場合、きつさの本体はそこではありませんでした。

きつかったこと① 事務作業が増えて、看護の時間が減った

一番こたえたのは、管理者としての事務作業です。

訪問から戻ったら記録、事務所の片づけ、月末にはレセプト。そこに職員の管理や、立ち上げ期ならではの営業も重なりました。営業は最初の1か月だけでなく、管理者を辞めるまでずっと続けていました。

訪問件数が増えても、1日の中では事務の時間のほうが大きくなっていきました。看護をしに来たはずなのに、メインの仕事が事務になっている。「私、何してるんだろう」と思うようになったのは、このころです。

記録は、書けるときにその都度書いて、残りは車の中で書いていました。事務スタッフはいなかったので、事務まわりも基本的に私がやっていました。

これは管理者だったからこそのきつさです。スタッフとして働く場合、レセプトや営業は基本的に管理者や事務の仕事なので、同じ重さにはなりにくいはずです。ただ、記録はスタッフにもあります。記録のやり方や事務スタッフがいるかどうかで負担は大きく変わるので、転職前に聞いておく価値はあります。

きつかったこと② 毎日のオンコールで、仕事から離れられなかった

二つ目はオンコールです。

私は毎日オンコールを持っていました。実際に出動するのは月に1〜2回。数字だけ見れば少ないです。でも、きつかったのは呼ばれる回数ではなく、「いつ鳴るか分からない」という緊張がずっと続くことでした。

休みの日も、仕事のことが頭から離れない。仕事から完全に離れられる日は、1日もありませんでした。体より先に、気持ちのほうがすり減っていった感覚です。

ただ、これも「訪問看護だから必ずこうなる」わけではありません。私のところはスタッフが2人のままで、2人が持つのはそれぞれ月に1回ほど。残りはほとんど私一人で持っていたから、毎日になっていました。オンコールを何人で回しているか、1人あたり月に何回なのかで、きつさはまったく変わります。オンコールのしんどさと減らし方はオンコールがきつい看護師へ|毎日オンコールだった私の体験に詳しく書いています。

きつかったこと③ 判断を分け合える人がいなかった

三つ目は、一人で判断することの重さです。

管理者になったとき、最初の3か月はメンターがついていました。ただ、それは契約上の期間で、3か月が過ぎると外れました。そこから感じたのは、忙しさよりも「孤独」でした。

スタッフからの電話で一番多かったのは、利用者さんの状態変化の相談です。それを受けて判断するのは私。脳外科の分野なら自信を持って判断できましたが、消化器や循環器は正直不安がありました。それでも、最終的に決めるのは自分しかいない。判断を誰とも分け合えないことが、じわじわきつかったです。

スタッフとして訪問看護で働く場合も、訪問先では一人で判断する場面があります。ここで大事なのは、迷ったときにすぐ相談できる相手がいるかどうか。そして「一人が怖い」と感じるのは、慎重に考えられる人だということでもあります。不安を感じること自体は、向いていない証拠ではありません。このあたりは訪問看護が「一人で怖い」あなたへで、電話を受ける側だった立場から書いています。

振り返ると、きつさの正体は「体制」だった

ここまでの3つを並べると、共通点があります。どれも訪問看護という仕事そのものより、職場の体制から来ていたということです。

利用者さんは増えていくのに、スタッフは2人のまま。増えた訪問も、事務も、オンコールも、判断も、管理者の私に集まっていきました。しかも私は、スタッフの補充を本部に相談せず、自己完結してしまっていました。いま思えば、業績とスタッフの配置をセットで考えるべきでしたし、一人で抱え込まずに早めに相談すればよかったと思っています。立ち上げで疲れ切った経緯は訪問看護の立ち上げで管理者が疲弊した理由にまとめました。

逆に言えば、体制が整っている職場なら、私が感じたきつさの多くは避けられます。訪問看護が「きつい職場」と「そうでもない職場」に分かれるのは、ここの差が大きいです。

転職前に確認したい4つのこと

私の経験から、訪問看護への転職を考えているなら、面接や見学で次の4つは確認しておくのがおすすめです。

① オンコールは何人で、月に何回か

「オンコールあり」だけでは分かりません。何人で回していて、1人あたり月に何回持つのか。実際の出動は月にどのくらいか。ここで、毎日持つ働き方なのか、数日に一度なのかがはっきりします。

② 一人で迷ったときの相談先

訪問先で判断に迷ったとき、誰に電話すればいいのか。管理者がすぐ出られるのか、ほかにも相談できる人がいるのか。相談の仕組みがある職場なら、一人の訪問でも怖さはかなり減ります。

③ 記録や事務の負担

記録はいつ書くのか、事務スタッフはいるのか。看護の時間を事務に削られるつらさは、私が一番感じたことなので、ここは遠慮せず聞いてください。

④ スタッフの人数と、利用者さんの増え方

利用者さんが増えたとき、スタッフをどう補充していくのか。増える利用者さんに対して人が増えていない職場は、一部の人に負担が集まりがちです。私のステーションがまさにそうでした。

聞きにくいことは、転職サイトの担当者に確認してもらう方法もあります。私は管理者を辞めて病棟に戻るときにナース専科を使いました。ただ、担当者からの情報がすべてではないので、気になるところは見学などで自分の目でも確かめてください。

まとめ|訪問看護がきついかどうかは、職場で決まる

訪問看護は、訪問そのものより、その外側にあるもの、つまり事務やオンコール、一人で背負う判断がきつくなりやすい仕事です。私の場合は、それが管理者の立場と少ない人数のせいで、全部一人に集まっていました。

でも、それは体制しだいで変えられる部分でもあります。「訪問看護はきついらしい」で選択肢から外してしまうのは、もったいない。何がきつくなりやすいかを知ったうえで、その部分がちゃんと支えられている職場を選んでください。

利用者さんと向き合う時間そのものは、本当にいい時間でした。そこは胸を張って言えます。

タイトルとURLをコピーしました