訪問看護の管理者って、何をしてる人なのか
「管理者さんって普段なにしてるんですか?」って、病棟時代の友達に聞かれたことがあります。たしかに外からは全然見えない仕事ですよね。私も管理者になるまで、正直よく分かっていませんでした。
私は病棟看護師から訪問看護に転職して、そのあと立ち上げ期の訪問看護ステーションに「うちに来ない?」と誘われて管理者になりました。昇格してなったわけじゃなくて、いわゆるスカウトです。だから心の準備もそこそこに、いきなり管理者デビュー。しんどかったけど。
この記事では、元管理者の私が「管理者のリアルな仕事内容」「大変だったこと」「それでも良かったこと」を、実体験ベースで書いていきます。これから管理者を目指す人にも、今まさに管理者で疲れてる人にも届くといいなと思いながら書きます。
訪問看護の管理者になるには
まず一般的な話から。訪問看護ステーションの管理者になるための基本的な要件は、保健師または看護師(常勤)であることです。資格として特別な「管理者免許」みたいなものがあるわけではありません。
ただ、実際の採用では訪問看護の経験を求められることが多いです。利用者さんの生活の場に入る仕事なので、現場を知らないと運営の判断ができないんですよね。細かい要件や運用は自治体や事業所によって違うので、気になる求人があれば個別に確認したほうが確実です。
私の場合はスカウトでした
私はもともと別のステーションで訪問看護師として働いていて、立ち上げ期のステーションから声をかけてもらった形です。「管理者として来てほしい」と。
キャリアを積み上げて満を持して…という感じでは全然なくて、若いうちに突然管理者になったパターン。こういうルートもあるんだ、というのは知っておいて損はないと思います。立ち上げ期のステーションは人材を探しているので、訪問看護経験者には意外と声がかかります。
管理者のリアルな1日
「管理者=デスクでマネジメントだけしてる人」と思われがちですが、少なくとも私は違いました。プレイヤー兼任です。
- 朝:自分も普通に訪問に出る。利用者さんのお宅、施設、グループホームを回る
- 夕方:ステーションに戻って記録。ついでにステーションの掃除も
- 月末:レセプト業務(介護保険・医療保険の請求)が一気に押し寄せる
そう、掃除もしてました。小さいステーションだと「それ誰がやるの?」という仕事は全部管理者に来ます。訪問して、記録して、掃除して、月末は請求業務。管理「だけ」していればいい立場では全くなかったです。
さらにうちは少人数だったので、オンコールは私がほぼ毎日持っていました。実際に夜間に出動するのは月1〜2回程度で、ほとんどは電話対応で済むんですが、「いつ鳴るか分からない携帯」を毎日持つ感覚は、経験した人にしか分からない重さがあります。オンコールの実態については別記事で詳しく書いています。
→ オンコールがきつい看護師へ|毎日オンコールだった私の体験と負担を減らす選択肢
管理者の主な業務一覧
管理者の仕事を整理するとこんな感じです。
| 業務 | 内容 |
|---|---|
| 利用者管理 | 新規受け入れの判断、訪問スケジュールの調整、状態把握 |
| 職員管理 | シフト調整、勤怠管理、相談対応、教育 |
| レセプト業務 | 介護保険・医療保険の請求。月末月初の山場 |
| 関係機関との連携 | ケアマネさん・主治医とのやりとり、報告書の管理 |
| ステーション運営 | 営業、備品管理、書類整備、掃除まで何でも |
| 訪問業務 | プレイヤー兼任なら自分の担当利用者の訪問も |
給料については、管理者手当がつくことが多いです。ただ金額は施設によってかなり差があるので、「管理者=高給」と思い込まずに、求人ごとに確認してください。業務量に見合わない手当のところも正直あります。
正直、大変だったこと
職員管理がいちばんきつかった
一番苦労したのは、間違いなく職員管理です。シフトの調整、スタッフ間の温度差、相談ごと。看護技術でどうにかなる世界じゃないんですよね。
しかも私は若い管理者だったので、年上のスタッフから協力を得にくい場面が多くて。「なんであの子が管理者なの」という空気、言葉にされなくても伝わるんです。相談できる相手も近くにいなくて、孤立感がありました。あれは今思い出してもつらい。
レセプトなどの事務作業
看護学校ではレセプトなんて習いません。介護保険と医療保険でルールが違って、月末月初は書類とにらめっこ。「私、看護師になったんだよね…?」と何度思ったことか。事務作業が苦手な人は、ここで消耗する可能性が高いです。
ほぼ毎日のオンコール
前述の通り、出動自体は月1〜2回でほとんど電話対応でした。でも「休みの日も完全には休めない」状態が続くのは、じわじわ効いてきます。
それでも、やって良かったこと
大変な話ばかり書きましたが、得たものも大きかったです。
まず、訪問看護の運営を中から学べたこと。レセプトの仕組み、ケアマネさんや主治医との連携の動かし方、ステーションがどうやって成り立っているか。一スタッフでいたら絶対に見えなかった景色です。
それから、利用者さんの幅。自宅だけじゃなく施設やグループホームにも訪問していたので、多様な疾患・多様な暮らしに関われました。この経験値は、その後のキャリアでも確実に効いています。
管理者に向いている人・向いていない人
経験者として、正直に書きます。
- 向いている人:人の調整ごとが苦にならない人、事務作業をコツコツ処理できる人、運営や経営に興味がある人、「現場100%じゃなくてもいい」と思える人
- 向いていない人:とにかく患者さんと関わっていたい人、書類仕事で消耗するタイプの人、ひとりで抱え込みやすい人
私は結局、「事務作業をしている時間より、現場で患者さんと関わりたい」と気づいてしまった側でした。これは向き不向きの話で、どちらが偉いとかではないです。
管理者がしんどくなったら
もし今、管理者をやっていて「もう限界かも」と感じているなら、その気持ちを無視しないでほしいです。私も孤立感の中で悩んだ時期があったので。辞めたい気持ちとの向き合い方はこちらに詳しく書きました。
→ 訪問看護の管理者を辞めたい【経験者が伝えたい3つの選択肢】
そして、転職は逃げじゃなくて選択肢のひとつです。私自身、最終的に管理者を辞めて、ナース専科という転職サービスを使って循環器外科病棟に転職しました。「管理より現場」と決めてからの転職活動は、むしろすっきりした気持ちで進められました。
逆に「これから訪問看護に挑戦したい」という人は、まず一スタッフとして現場を経験するのがおすすめです。
→ 病棟から訪問看護への転職|元管理者がリアルを語る
まとめ
訪問看護の管理者は、訪問・記録・掃除・シフト調整・レセプト・関係機関との連携と、本当に何でも屋です。特に小規模ステーションなら「管理だけ」は幻想だと思っておいたほうがいい。職員管理と事務作業のしんどさは想像以上でした。
それでも、運営を学べたこと、幅広い経験を積めたことは、私のキャリアの財産になっています。向いている人には面白い仕事だし、向いていなかった私みたいな人間は、現場に戻ればいい。それだけのことです。
管理者をやるかどうか迷っている人は、自分が「調整する側」と「ケアする側」のどっちで生きたいか、一度ゆっくり考えてみてください。私の遠回りが、誰かの近道になりますように。なんてね。でも本当にそう思ってます。


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