訪問看護ステーションの管理者って、求人票だと「管理業務全般」ってひとことで済まされがちなんですよね。私も引き受けるまでは、その中身をちゃんと想像できていませんでした。
実際にやってみて、一番体力と神経を持っていかれたのは、訪問でも職員対応でもなく月末のレセプト業務でした。今日はそのリアルを書いてみます。
訪問看護のレセプトって、何をしているのか
訪問看護のレセプトがややこしいのは、利用者さんによって医療保険と介護保険が混在しているところです。
同じ「訪問看護」でも、この人は医療保険、この人は要介護認定を受けているから介護保険、というのが利用者さんごとにバラバラ。しかも月の途中で入院したり退院したり、要介護度が変わったりすると、請求の区分そのものが変わります。
そこに加算の確認が乗ってきます。
- 緊急時訪問看護加算
- 特別管理加算
- ほかにも条件の細かい加算がいくつも
一件ずつ「この人はこの加算、取れてるっけ」と確認していく作業になります。病棟で働いていたときはレセプトなんてほぼ意識したことがなかったので、管理者になって初めてこの大変さを知りました。
月末の修羅場
私のステーションでは、月末になると普段の訪問業務にレセプトチェックが上乗せされる感じでした。
朝は普通に利用者さん宅を回って、記録を書いて、夕方に事務所へ戻ってからレセプトの数字と向き合う。日中の仕事が減るわけではないので、単純に一日が長くなります。
件数が増えてくると一人で何十件も見ることになって、数字が合わないときは何度も遡って確認する羽目になります。感覚としては、確定申告の時期が毎月来るような感じでした。正直、胃が痛かったです。
しかもミスがあると請求できなかったり、返戻といって保険者から突き返されてやり直しになったりします。だから慎重にならざるを得ない。「早く終わらせたいのに急げない」というのが、この作業の一番しんどいところかもしれません。
職員管理と並行してやる大変さ
私が管理者を任されたのは立ち上げ期のステーションでした。スタッフは、もといた施設からそのまま移ってきた2人だけ。そして結局、私がいた1年のあいだ、その人数は最後まで増えませんでした。
一方で、営業に回った分だけ利用者さんは増えていきます。増えた訪問を誰が持つかといえば、管理者である自分です。
つまり私の月末は、こうなります。
- 日中は増え続ける訪問をこなす
- 合間にシフト調整とオンコール当番の割り振り
- スタッフからの相談対応
- そのうえで、夕方からレセプト
事務スタッフがレセプト専任でついているステーションなら、管理者はチェックだけで済むこともあるようです。でも、うちはそうじゃなかった。
人が足りないステーションほど、管理者に実務がそのまま乗っかってくる。この構造は、これから管理者を考えている人にこそ知っておいてほしいところです。管理者の仕事全体については訪問看護の管理者ってどんな仕事?元管理者がリアルな業務内容を語るに書きました。
数字と向き合って、よかったこともある
しんどい話ばかり書きましたが、得たものもありました。
レセプトを自分でやったことで、訪問看護がどうやって収益を上げているのかが見えるようになったんです。1件の訪問がいくらになるのか、加算が付くとどう変わるのか。現場のケアだけを見ていたときとは、明らかに違う景色でした。
それに、数字がきちんと形になっていたから、職員の給料はちゃんと払えていました。「職員は宝」だと思ってやってきたので、そこは管理者として素直にうれしかった部分です。
ただ、それでもしんどさはしんどさです。学びがあったから帳消し、とは言えません。
転職前にチェックしておきたいポイント
これから訪問看護の管理者を目指す人、管理者候補として転職を考えている人に伝えたいのは、面接の段階でレセプト業務の体制を具体的に聞いておいたほうがいいということです。
聞いておきたいのはこのあたり。
- レセプト専任のスタッフや事務員がいるか
- 管理者はチェックだけか、実務も担当するのか
- 使っているレセプトソフトは何か(慣れるまでの時間が変わります)
- 利用者数の規模と、今後どこまで増やす計画か
- 職員を増やす計画は、利用者を増やす計画とセットになっているか
最後の項目は特に大事です。利用者だけ増やす計画しかない職場だと、増えた仕事はまるごと管理者に乗ります。私がまさにそうでした。
この辺りは求人票にはまず書かれていません。だから入ってから「思ってたのと違う」となりやすい。私も入職前にここまで踏み込んで聞いていなかったので、後から知って驚きました。管理者を打診されている段階の人は、訪問看護の管理者に誘われたら確認したい5つのことも読んでみてください。
それでも管理者を続けるか、迷ったら
レセプトがしんどい、事務作業に時間を取られて看護ができない。そう感じているなら、それは能力の問題ではなく、たぶん体制の問題です。
私自身、最終的には「数字と書類より、患者さんと関わる時間がほしい」と思って管理者を辞めました。今は病棟で働いています。逃げたとは思っていません。合う場所を選び直しただけです。
同じように迷っている人は訪問看護の管理者を辞めたい【経験者が伝えたい3つの選択肢】も覗いてみてください。辞める以外の選択肢も含めて書いています。
まとめ
- 訪問看護のレセプトは、医療保険と介護保険が混在していて確認項目が多い
- 月末は通常業務にレセプトが上乗せされる。返戻を避けるため、急ぎたくても急げない
- 人が足りない職場ほど、管理者に実務がそのまま乗る
- 面接では「レセプトを誰がやるのか」「職員を増やす計画があるか」まで踏み込んで聞く
- 数字を見た経験は無駄にならない。でも、しんどさは別問題
管理者を目指す人には、同じ苦労を避けられるところは避けてほしいなと思います。私が一番ほしかったのは、根性ではなく体制だったので。

