訪問看護に向いている人の特徴|元管理者が考える「続けられる人」の共通点

働き方・職場

訪問看護に興味はあるけど、自分に向いてるのか正直わからない。求人票を見ながらそう思ってる人は多いと思います。私は病棟から訪問看護に移り、立ち上げ期のステーションで管理者も経験しました。訪問看護師として、そして管理者として働くなかで、続けられるかどうかの差は看護技術の優劣というより、もっと別のところにあると感じています。今回はその視点で「向いてる人」を書いてみます。

スキルの話じゃなくて、性質の話

先に言っておくと、これは看護技術がある・ないの話ではありません。訪問看護は病棟と違って教育体制がしっかり整っているとは限らず、私がいたステーションも職員は最後まで施設からスライドしてきた2人のままで、利用者さんだけが増えていく状況でした。マニュアルを整える余裕も、じっくり研修する余裕もない現場です。そういう環境で続けられるかどうかは、経験年数よりも性質のほうが大きく効いてくる感覚があります。以下は、私自身が訪問看護師として、管理者として働くなかで「これがあると続けやすい」と感じた特徴です。

①一人で判断することに、極端な抵抗がない人

訪問先では基本的に自分一人です。病棟なら隣にいる先輩にすぐ聞けることも、訪問看護だと電話で状況を伝えて、その場でどう動くか自分で決めることになります。私自身、管理者になってメンターが外れたあとは、判断を分け合える相手がいない時期が長く続きました。忙しさそのものよりも、その孤独感のほうがきつかったです。本部に相談窓口はあっても、全部を預けて委ねるところまでは踏み込めず、結局は自分の判断で動くしかない場面がほとんどでした。

一人で決めることに慣れていない人ほど、最初はこの感覚に戸惑うと思います。逆に、その場で答え合わせをしてもらえなくても動ける人は、訪問看護に向いていると感じます。

ただ、誤解しないでほしいのは「怖いと感じる人は向いていない」という意味ではないことです。怖さを感じられるのは、リスクが見えている慎重さの表れでもあります。大事なのは、怖くても電話で相談しながら動けるかどうか。このあたりは訪問看護が「一人で怖い」あなたへ|電話を受ける側だった元管理者からに詳しく書きました。

②「わからない」を素直に認められる人

私は消化器や循環器の判断には正直あまり自信がなくて、逆に脳外科系の判断は自信を持ってやれていました。得意不得意があるのは当然で、それを隠さずにいられるかどうかが結構大事だと感じます。わからないまま自分の判断だけで抱え込んで動くより、早めに病院に繋ぐなり誰かに相談するなりできる人のほうが、結果的に利用者さんにとっても安全です。

完璧に全部わかってから訪問看護に行こうとすると、いつまで経っても踏み出せません。むしろ、わからない部分があることを前提にして、その都度確認しながら動ける柔軟さのほうが実際には必要でした。プライドが先に立つタイプだと、この切り替えが難しいかもしれません。

この傾向は、スタッフの数に余裕がないステーションほど強く出ます。バックアップ体制がしっかりしている大きな事業所なら話は違うかもしれませんが、私がいたような立ち上げ期のステーションでは、誰かがカバーしてくれるのを待つより先に、自分で調べて動くしかない場面のほうが圧倒的に多かったです。

③周りのスタッフを気にかけられる人

「職員は宝」だと思えるかどうか

これは管理者側の視点になりますが、職員を大事にしない現場は長く続かないと思っています。訪問件数は増える一方でも職員は増えないという状況を経験しているので、余計にそう感じるのかもしれません。私のステーションは新人を迎える機会がありませんでしたが、もし迎えていたら、教育は時間をかけて根気よくやると決めていました。最初はみんなわからないのが当たり前なので。誰かを責めて終わらせるより、次にどうするかを一緒に考えるほうが、結局はチーム全体のためになります。

プレイヤーとして働く場合でも同じで、周りのスタッフの状況を気にかけられる人のほうが、少人数のチームとしてうまく回りやすいです。自分の担当利用者さんのことだけ見ていればいい、という働き方が成立しにくいのが訪問看護だと思います。

④本音で話せる人

管理者を辞めて病棟に戻る転職をしたときの面接で、私は「事務作業がつらくて現場に戻りたい」という、あまり格好よくない理由を正直に伝えました。逆質問では教育体制のことも聞いています。取り繕った志望動機を並べるより、自分の状況を素直に話せる人のほうが、結局は現場に馴染みやすい気がします。訪問看護は少人数で動く分、本音でやり取りできるかどうかがそのままチームの空気に直結します。愚痴も含めて言い合える関係があるステーションのほうが、長続きすると思います。

⑤迷っていても、決めたら動ける人

管理者を引き受けるとき、私が迷ったのは「自分にできるのか」というその一点だけでした。給与や体制については面接で聞いて、持ち帰って決めています。迷いがゼロの人なんてほとんどいないと思いますが、迷いながらも一度決めたらそこに向かって動けるかどうかは、訪問看護に限らずこの仕事が続くかどうかを分けるポイントだと感じます。動きながら考えるくらいのスタンスのほうが、じっと考え込むより合っていました。

自分に当てはまるか、ざっくりチェックしてみる

  • 訪問先で判断に迷ったとき、電話一本で相談できれば十分だと思える
  • 苦手な分野があることを、面接でも正直に言える
  • 後輩や新人に対して、根気よく教えることが苦にならない
  • 取り繕うより、多少格好悪くても本音で話すほうが楽だと感じる
  • 完璧な自信がなくても、一度引き受けたら覚悟を決められる

3つ以上当てはまるなら、性質としては訪問看護に向いている可能性が高いと思います。逆に一つも当てはまらないなら、今すぐ飛び込むより、まず病棟での経験をもう少し積んでからでも遅くないはずです。

最初から向いてる必要はない

ここまで書いた特徴は、性格的な傾向であって、生まれつき決まっているものではないと思っています。私自身、管理者を任される前から一人で判断するのが得意だったわけではなく、メンターが外れて孤独を感じながら、少しずつそのやり方に慣れていった感覚のほうが近いです。最初から全部当てはまっていなくても、やっていくうちに身についていく部分は確実にあります。

逆に言えば、今の時点で自信がなくても、それだけで訪問看護に向いていないと決めつける必要はありません。向き不向きは固定されたものではなく、環境と時間で変わっていくものだと、自分自身の経験から感じています。

向いてないと思ってた人ほど、向いてることもある

ここに書いたことは、特別なスキルや経験がある人向けの話ではありません。むしろ病棟でずっと働いてきて、訪問看護の経験がゼロの人にも当てはまる話だと思っています。逆に「向いていない人の特徴」も別の記事にまとめているので、両方読んで自分がどっちに近いか確認してみてください。

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